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千葉県市川市の自然・文化・まちづくりを考え、活動する市川緑の市民フォーラム
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三番瀬の自然環境の保全と
市川市臨海部のまちづくりについての
市民提案(2)

市川緑の市民フォ−ラム案
         2002年3月19日

はじめに

 市川市臨海部と三番瀬のあり方を巡っては、今新しい局面を迎えた。それは、堂本知事が埋立計画を白紙に戻し、三番瀬の自然環境の再生を求めて検討組織を立ち上げたからである。従来の陸域の問題解決のために海を埋め立ててきた歴史に終止符を打ち、海の自然環境の回復をはかるために検討しはじめるということは、現時点が千葉県の臨海開発の大きな変曲点であり、したがって、これからは市川市民といえども、市川市内という範囲を越えて三番瀬の自然環境回復のために議論すべきと考える。

  三番瀬に関する補足調査や市川市が行っている海域調査は、三番瀬の生態系とその現状を知る上で貴重な情報を提供している。そして、これらの調査結果は今最大の焦点となっている猫実川河口域について、「水鳥たちの休息の場、採餌の場」「ドロクダムシ等の底生生物が豊富で魚類の稚仔魚の餌を供給する場」「他の海域に負けない高い水質浄化能力を持つ海域」であることを示している。また、多数の釣り人からの情報や私たちの簡単な調査からも「すべての底質が市川市が言うような『ヘドロ』化した有機質を多量に含んだものではない」「アナジャコ、アカニシ、ゴカイ類、ホトトギスガイ、タイワンガザミ、イシガニ、マハゼ等多数の生物が生息する海域である」「市川市や一部の方の『海が臭い』という指摘も、普段は悪臭がほとんどなく、大雨時に第2終末処理場から生下水が放流される場合を除いて苦情が寄せられていないらしい」ことなどがわかるなど、猫実川河口域が三番瀬の生態系の中で重要な役割を果たしている貴重な海域であることを裏付けている。したがって、猫実川河口域を埋めるような形で市民のアクセスと自然の復元を考えるなら、それは今ある三番瀬の生態系にさらに大きな痛手となるに違いない。しかし、三番瀬の生態系については、東京湾全体の中で果たしている役割についても未だに未解明であり、三番瀬に関心を持つすべての人々が共通の認識に立てるほど十分なデータがそろっていないことも事実である。そこで、今後も継続的に三番瀬海域に関する調査を行いデータを蓄積していくことは、今後の三番瀬と臨海部のあり方を検討する上で重要である。

  また、長年月の自然の営みが作り上げた東京湾奥部の自然環境を、私たちは数十年で破壊してきた。この傷ついた自然環境を完全に修復することは、たとえ英知を集めて努力したとしても不可能である。そのことを謙虚に受け止め、環境修復をはかる場合には十分に慎重でなければならない。そして、一気に大がかりに手を加えることは厳に慎み、市民参加で少しずつ手を加え、その都度影響をアセスしながら自然の営みを最大限に引き出せる方法を検討したい。

  以上を前提として、1999年12月に千葉県と市川市に提出した「三番瀬の自然環境の保全と市川市臨海部のまちづくりについての市民提案」を踏まえつつ、あらたに今後の臨海部まちづくりと三番瀬の自然環境の回復に対する市民提案を行うので、是非前向きにご検討いただきたい。

 

基本コンセプト

1.自然環境が自らの力でその環境を維持し、年々更新していける「たくましさ」を有するためには、ある程度以上の面積と多様性が必要である。したがって、様々な生態的機能を有する現在の三番瀬海域は保全し、修復計画はそれ以外の区域で検討すべきである。このことは、ラムサール条約における湿地の修復と再生の指針である「生態的に質の高い機能を持っている今ある干潟と浅瀬は保全を優先する」という考え方にも合致している。

2.青潮発生源となっている市川航路やその他人為的に作り出した深みについては、生態系に配慮しつつ埋め戻したり、浅くする。そして、将来的に市川臨海部は工場主体のまちから東京湾の自然を修復する地域へと移行させる。

3.既存の埋立地は時代の経過とともに、再開発、再整備が必要な段階にきている。都市計画及び用途地域を柔軟に考え、用途の定まっていない遊休地を含めて整理し、海に戻せる部分は積極的にヨシ原・干潟・浅瀬に復元する。この自然の回復にあたっては、かつての東京湾の原風景を念頭におく。したがって、埋立地内部に海岸線を設定し、その陸側に高潮対策を行う。直立護岸は可能な限り取り除くが、直立護岸ゆえに人の利用が可能となるケース(車椅子の方が釣りを楽しむなど)もあることを考慮する。

4.市民と海とを遠ざけている最も大きな原因は、今ある湾岸道路である。したがって、 第2湾岸道路を建設することが、これを一層進めることは明らかである。また、三番瀬の自然環境と調和した臨海部のまちづくりとの両立も極めて困難である。第2湾岸道路は高架式であっても地下方式であっても莫大な建設費を要する。国家財政が600兆円以上の赤字を抱え、道路公団もその存在すら危うい現状、そして何よりも「渋滞解消のために道路を作る」という考え方が通用しなくなっている現在、第2湾岸道路建設は見送り、交通体系そのものを見直し、自動車の総量規制を検討する。

5.開発により孤立を強いられている行徳鳥獣保護区、江戸川放水路、谷津干潟(ラムサール登録湿地)、および三番瀬は、渡り鳥等の行き来があることなど、今でも有機的なつながりを持っているが、地理的には本来東京湾奥部の一体の干潟浅海域である。そこで、三番瀬の自然環境の復元にあたっては、これら残された貴重な自然がさらに有機的なつながりが持てるように修復計画を立てる

6.人が関わって維持されてきた三番瀬の歴史、そしてアサリ漁など人の手が加えられてきたことによって三番瀬の高い脱窒作用が維持されてきたことなどを考慮し、江戸前の魚を中心とする巻網漁、海苔漁、アサリ漁などの様々な漁業にとって、東京湾奥部が今以上に良好な環境となるような三番瀬の自然環境の保全と修復の計画を立てる

7.三番瀬は、環境教育の場、ハゼ釣り、潮干狩りなどのレクリエ−ションの場としても今後大いに活用すべき場所であるが、自然環境の保全や修復の立場、そして東京湾の沿岸漁業を維持させる立場からも、市民の利用については一定のルールを設ける

8.江戸川左岸流域下水道計画はその計画を大幅に見直し、第1終末処理場を建設せずにすむ方法を検討する。上流部の関宿・野田・柏地域で独自の終末処理場を設置したり、中・下流部の現計画区域内の既設公共下水道(松戸・市川)は廃止せずに改修して能力アップをはかるとともに、現在稼動中の第2終末処理場の機能も強化して対応する。流域の人口動態、処理方法の技術革新等を考慮すると、それで十分にまかなえる。

9.上記のコンセプトに従い市民案を検討していくが、この市民案が三番瀬の自然環境の保全とワイズ・ユ−スにおいて十分なものであるかどうかは、計画アセスにより、環境影響評価を行ってから判断するものとする。

 

具体的な提案

 上記の基本コンセプトに従い、臨海部の現状、現在の用途地域の指定、行政の財政状態などから考えて、すぐに着手できる提言、将来的に具体化したい提言など、いくつかの実施期間に分けて提言する。

A 短期的提言
(現在〜3ヶ年の期間内で実現すべき提言。赤字は緊急に実施すべき)

(1)三番瀬の自然環境の復原を目指すために「検討会議」を設置する。参加者は広く関心を持つ市民、研究者を募り、検討期間は約2年とする(千葉県)。

(2)補足調査の結果だけでは不十分なので、三番瀬の現状や東京湾全体における三番瀬の役割に関する調査を行う(千葉県)。

(3)陸域、沿岸域を含めた臨海部のクリ−ンアップにより、市民の三番瀬及び臨海部のまちづくりへの関心を高める(すでに99年より市民の手で3年間実施されている。また、2001年は浦安市、市川市、船橋市3市の市民がクリーンアップを行っており、この活動は広がりつつあるし、定着しつつある)(浦安市、市川市、船橋市)。

(4)京葉線沿いの未利用地を公共用地として確保し、この場所で実験的に直立護岸を壊して、ヨシ原、干潟、浅瀬をつくる。その際、直立護岸の取り壊しは業者で行うが、自然復元のための作業は市民参加で少しずつ行う(市川市、千葉県、環境省)。

(5)行徳の中心街と沿岸部を結ぶバス路線(海の見えるバス路線)を東西線行徳駅と南行徳駅の間で運行し、市民が市川の海に接しやすい環境を作る(市川市)。

(6)現在の直立護岸は崩壊しつつあり、危険である。したがって、このまま放置することはできない。そこで、場所によって自然護岸、直立護岸、階段護岸、石積み護岸など、その場所にあった手法ですぐに改修工事に着手する(長期的には、多くの部分を自然護岸にする)(市川市、千葉県)。

(7)直立護岸沿いの澪を埋め戻し、上記(6)を実施するか直立護岸に階段を設置して、大潮時には干潟に降りられるようにする。不自然ではあるが短期的にはこのようにして市民が三番瀬の水と砂(泥)に触れ合えるようにする(千葉県、市川市、環境省)。

(8)漁協と協議して漁協がつくった人工干潟を市民に開放する。そのため現在崩壊寸前の橋を三番瀬にふさわしい形で再整備し、環境教育にも活用できるようにする。そして、上記(7)との併用で当面の市民の海へのアクセスを確保する(市川市、千葉県)。

(9)行徳鳥獣保護区と東京湾との潮の行き来を改善する。具体的には現在の導水路を開渠拡幅し、護岸を自然に近い形とする(千葉県、市川市)。

(10)京葉線塩浜駅から直接行徳鳥獣保護区に行ける通路を作る。同時に、行徳鳥獣保護区から開渠の導水路沿いに海岸線へ出られる通路をつくる(市川市)。

(11)浦安市の埋め立て地の遊休地や浦安市営墓地を、三番瀬の自然環境の回復という視点で見直し、遊休地の一部を湿地、ヨシ原、干潟に戻すことを検討する。特に、浦安市営墓地の位置を再検討し、すでに販売を終えている第1・2街区を残して西にずらし、埋立D地区の東南の角を削って海に戻せないかどうか検討する(浦安市、千葉県、環境省)。

(12)第2湾岸道路、江戸川左岸流域下水道計画については、早急に検討を行い、第2湾岸道路については建設しない方向で、臨海部の交通体系を見直す作業を始める。また、江戸川左岸流域下水道計画は、少なくとも上流・中流・下流域の3分割方式に切り替えて、すでに埋設した下水道管を生かせる方法を検討する。したがって、すでに都市計画決定している第1終末処理場用地は都市計画決定を解除するとともに、通称「行徳富士」問題の早急な解消につとめる(国土交通省、千葉県、市川市)。

(13)行徳可動堰を川・河口・干潟というつながりから、三番瀬の自然環境の回復計画と連動させて考え、可動堰の運用により青潮被害を軽減させる方策(貧酸素海水の発生を弱めたり、時期を遅らせることが可動堰の運用によりできないか)を検討する(国土交通省、千葉県、市川市)。

(14)青潮の被害を軽減するためには市川航路を埋め戻すことが検討されなければならない。また、市川航路によって船橋側と市川側に分離されている現在の三番瀬を本来の姿に戻せることが重要である。そのために、市川航路を用いないですむ臨海部のあり方を検討する。

(15)埋立地の用途地域の変更や公有地化の道を探り、同時に塩浜地区(特に、塩浜駅南側)の工場や倉庫等の事業者と調整会議を持つ。さらに、修復された三番瀬および臨海部を今後誰が管理していくのか(例えば、千葉県立中央博物館の分園として位置づけることも可能)、という問題も検討していく(千葉県、市川市)。 

B 中期的提言(3年〜10ヶ年の期間内で実現すべき提言)

(1)市川市塩浜地区の土地利用の見直しを行い、工業専用地域から「市民が三番瀬の自然環境に触れ、環境学習が行えるような用途地域」に変更する(千葉県、市川市)。

(2)塩浜駅南側及び浦安市の埋立地の一部をヨシ原、干潟、浅瀬等に戻していく。その際、市川側の直立護岸と浦安側の階段護岸をどのように取り除き、高潮から陸域をどのように守るかを検討する(千葉県、浦安市、市川市、環境省)。

(3)東京湾奥部の自然環境の改善を図るために、神奈川県、東京都、千葉県、環境省で「東京湾環境保全プロジェクト」を発足させる。その中では三番瀬の自然環境の保全に留まらず、東京湾全体の環境保全や原風景の回復を考え、実施する。

(4)今後の東京湾全体の自然環境の保全や開発のあり方を示す「東京湾保全法(仮称)」の制定に向けた検討を行う(神奈川県、東京都、千葉県、環境省、国土交通省)

(5)三番瀬を日本における干潟浅海域の自然環境回復のセンターとして位置づけ、研究施設、環境教育施設の誘致を検討する(千葉県・環境省)。

(6)東京湾漁業の振興、東京湾と市民の触れ合いなど、三番瀬のワイズ・ユースに関するルールづくりを行う(千葉県・浦安市・市川市・船橋市)。

(7)「鳥獣保護区」の指定を行い、ラムサール湿地の登録を行う(千葉県・環境省)。

(8)東京湾から絶滅してしまったハマグリ、アオギスなどを呼び戻すための研究をスタートさせる。また、かつて頻繁に姿を現したスナメリを再び東京湾に誘致するための東京湾のあり方について研究する(千葉県・環境省)。

(9)東京湾に流入する汚濁負荷量を軽減するために下水道の整備と終末処理場の高次処理を実現する(神奈川県・東京都・千葉県・国土交通省)。

C 長期的提言(10ヶ年〜50ヶ年の期間内に実現すべき提言)

(1)東京湾沿岸部を可能な限り自然な海岸線に修復する。

(2)「東京湾保全法(仮称)」を制定し、自然環境を復元した海岸線を再び開発できないよう、法的整備をはかる。

(3)干潟浅海域の自然環境回復のための研究施設と環境教育施設を建設し、全国の若手研究者に研究の場と、全国の子供たちに環境教育の場を提供する。

(4)生物相から見て、東京湾がかつての姿に近づいたかどうかを調査し、今後も豊かな東京湾を維持できるよう、臨機応変に保全策を講じていく。

以上

連絡先:市川緑の市民フォ−ラム 佐野郷美 市川市曽谷7-24-3  Tel&FAX 047-373-3219

 

 

 

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